リモートカットオフ特性の真空管 |
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下の真空管は最初期のリモートカットオフ球です。 同じ種類の真空管ですが、右から古い順に 235、35、35/51 と変っていきました |
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初期のリモートカットオフ球は、235、35、35/51、51と 名前が変っていきましたが 手元の3種類を観察した限りでは、外観以外殆ど同じ構造です。 |
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真空管は小さい信号を大きく”増幅”するのが大きな役目の一つです。 真空管は型式(名前)によって”どれくらい増幅するか”と言う特性が決まっているのが普通ですが、 ラジオには”増幅率を連続的に変化させることの出来る”真空管が使われている場合があります。 これを”リモートカットオフ特性をもつ真空管”と呼び、日本では”可変増幅率真空管”と表記される場合もあります。 この真空管は、所謂 ”5球スーパー”(スーパーヘテロダイン検波)方式のラジオ受信機に使われています。 |
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下の回路は、ナショナル真空管の箱に入っていた説明書で、 一般的な5球スーパー受信機の回路です。 |
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下にリモートカットオフ動作の部分を赤い点線で示します。(AVC回路) ”AVC回路”とは、強い電波(近くの放送局)や弱い電波(遠くの放送局)を連続的に選局する場合に 出来るだけ同じ大きさの音量で聞こえるようにする回路方式です 強い電波を受信した場合は増幅度を小さく、弱い電波を受信した場合は増幅度を大きくします。 |
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35シリーズ以外の主なリモートカットオフ球をご覧下さい。 6WC5,6D6,6SA7,6SK7,12BA6,12BE6, |
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リモートカットオフ特性は主としてグリッド巻き線の間隔を変えることで作り出せます 初期の真空管はグリッド巻き線を一部分カットする手法が使われたようですが(6D6,6WC5など) 製造機械が進化すると 右側の写真の6SK7のように間隔を連続的に可変できるようになり 理想的な特性を追求できるようになりました。 |
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シャープカットオフ真空管の6C6とリモートカットオフ真空管6D6の特性比較(実測図)です。 カーブの右上がりの傾きは真空管の増幅率を表しています(厳密には”増幅率”とは少し違いますが) バイアスの浅いところ(右上付近)では同じ傾き(増幅率)ですが、バイアスが深くなるに従って(左側方向) 傾きがゆるくなり、増幅する割合が小さくなることが判ります。 上の回路では強い電波を受信するとバイアスが深くなって動作点が左側に移動します。 |
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真空管の性能 手元にある真空管について、定格値と現状値の違い(どの程度劣化しているかの度合い)は 上のような静特性曲線に明確にあらわれます。 このような測定には、専用の電源装置と X-Y レコーダ を使います。 |
静特性測定用電圧掃引電源 |
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お手元に大切に保管されている真空管の性能が心配な方ほご相談下さい。 uchita@jtw.zaq.ne.jp
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