昭和20年の8月以降、敗戦の混乱期にラジオは重要な情報伝達手段であると共に大衆娯楽の主役でした。
しかし電力事情は最悪で、夜にはどんどん電圧が低下し、電灯は暗くなり、ラジオは音が極端に小さくなって、ついには聞こえなくなってしまうような状況でした。
都会では燃料が不足しており、電熱器が重要な熱源であったことも夕方の電圧低下に拍車をかけました。
そんな時代を背景にして登場したのがここにお見せする”オートトランス”です。
極端な場合、通常100Vの電圧が60V近くまで低下するのを、昇圧してラジオが聞こえるようにするのがこの”オートトランス”の役目です。
戦争を遂行するための製造会社が敗戦で仕事をなくし、又爆撃で機能をそがれた製造業者が生き残りをかけて様々の家庭向け電化製品を製造、販売しましたが、このオートトランスもその中の1製品だったのです。
高級品には電圧計が付いていましたが、安価な製品はネオンランプの明るさで電圧を監視すようになっており、夜がふけて電圧が回復したのに気が付かず、ラジオから煙が立ち上ってあわてて電圧を下げることもありました。
敗戦(当時は終戦と言いましたが)の混乱を象徴するような”オートトランス”をご覧下さい。 |
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AUTO TRANSFORMER
形式 R-2P 100V 80W
SANKYO ELECTRIC CO.,LTD
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Step up Trans
IIZUKA ELECTRIC WORKS
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PEACE AUTO TRANS
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STEP UP TRANS
N.K.電器製作所 (MADE IN NAGOYA)
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Slid up
TV-150 input 100V output 0-150V 200w
横山電機製作所
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